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Oracle AI World 参加レポート:新戦略とAI関連サービスの最新動向

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Oracle Cloud
2025.10.21

皆さま、こんにちは!y.takanashiです。

今回は、現地時間10月14日〜10月16日にラスベガスで開催された「Oracle AI World」に弊社から大森とともに参加し、その様子をレポートとしてご紹介します。

本イベントは、Oracleが掲げる戦略や、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)を基盤としたAI関連サービスを中心に、多数のセッション・基調講演・ブース展示等によって構成される、年に一度のグローバルカンファレンスです。

昨年までは「Oracle Cloud World」という名前でしたが、今年から「Oracle AI World」へリブランドされました。

これは、AIへの投資に注力するOracleの企業姿勢が、イベント名から垣間見える変化となっております。
本イベントはOCIを活用したシステム構築やAI活用を検討する企業にとって、最新動向やOracleのを収集できる貴重な機会となっています。


Oracle AI Worldのハイライト

本イベントで合計5件の基調講演が行われ、その中からLally Ellisonが登壇した「Oracle Vision and Strategy」についてご紹介します。

本講演では、Oracleの独自のAIアプローチが示され、AIインフラストラクチャとアプリケーションに対する二重の焦点が強調されました。

残りの基調講演はYouTubeで公開されており、以下から視聴可能です。

https://www.youtube.com/@Oracle/videos

AIのフェーズ論と今後の方向性

従来のAIモデルは公的データ(インターネット上のデータ)を利用する「Trainingフェーズ」が中心でした。しかし、AIモデルの価値を最大化するには、非公開のプライベートデータを活用する「Reasoningフェーズ」が重要です。
現在はフェーズの転換期であり、価値の高いデータを保持するOracle Databaseが重要な役割を果たしています。

Oracle AI Database 26aiのリリース

本講演では、新たに「Oracle AI Database 26ai」が発表されました。

26aiはOracle Database 23aiとの互換性を保ちつつ、RAG対応のためデータをベクトル化してインデックスできる機能を具備しております。

その他にも、26aiはデータベース内のデータだけでなく、オブジェクト・ストレージやAWS S3のデータもベクトル化が可能となっております。

26aiは既に東京リージョンでもリリースされており、23aiの代わりに選択可能となっています。

その他にも以下リソース名の変更も発表されております。

  • Oracle Database 23ai → Oracle AI Database 26ai
  • Oracle Autonomous Database → Oracle Autonomous AI Database
  • Oracle Autonomous Data Warehouse → Oracle Autonomous AI Lakehouse
  • Oracle APEX Low-Code → APEX AI Application Generator

AIインフラストラクチャへの投資

Oracleは独自のAIモデルやGPUを顧客に直接提供する代わりに、AIモデルの基盤となるインフラストラクチャを整備しております。

一例として2024年6月より、テキサス州アビリーンに45万台以上のNVIDIA GPUを備えた巨大 AIデータセンターの建設が進められています。

このデータセンターは送電網と天然ガスを動力源とし、敷地面積は1,000エーカー、東京ドーム350個分に相当する規模です。

建物が合計8棟に分かれて提供されますが、すべてが相互接続され、1つの作業負荷をサポートする設計となっています。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=4eCFmbX5rAQ

講演では、ヘルスケアや農業におけるAI活用、セキュリティや生体認証への応用にも言及されており、1時間半のセッションで幅広い内容が紹介されました。

特にヘルスケア分野に関しては、時間を割いた説明が印象的でした。


Oracle AI Worldにて新リリースされたサービスの紹介

ここではOracle AI Worldにて新リリースされたサービスを紹介します。

Oracle Acceleron

「Oracle Acceleron(アクセレロン)」はネットワークソフトウェアとアーキテクチャがセットになったパッケージ(スイート)で、専用ネットワークファブリックやより直接なデータパスを活用することで、高いネットワーク処理能力を確保しつつ、低コストで顧客に提供できるサービスです。

現時点(2025/10/21)ではGAされておらず、来年度以降のリリース予定です。

なお、名称の由来は「accelerate(加速する)」+「-on(粒子や装置を示す語尾)」を組み合わせた造語です。

OCI Dedicated Region25

OCI Dedicated Region25は、顧客のデータセンターに最低3ラックから導入できる専用リージョンサービスです。

このサービスを利用することで、物理的要件にとらわれずOCIを活用することが可能です。

参考として、AWSでは最低1,500ラック(500ラック x 3AZ)からの提供となるため、OCIの方がより小規模なスタートが可能です。

Zero Trust Packet Routing(ZPR)

Zero Trust Packet Routing(ZPR)とはセキュリティ属性とポリシーを組み合わせてOCIリソースを保護するサービスです。

AI Worldでの発表によると、ZPRはゼロトラストの思想に基づき、保護対象のOCIリソースにワークロードタグを付与し、IAMポリシーにてDeny権限を設定することで、よりシンプルにOCIサービスを保護可能となります。

こちらは2025年内にアップデートされる予定です。

その他にも、自社データとAIモデルを統合してAI駆動型のアプリケーションを構築・展開できる包括的なプラットフォーム「AI Data Platform」や、マルチクラウド利用時のクレジットを一本化する「Multicloud Universal Credit」サービスのリリース等も発表されました。


会場の様子

ここでは会場の雰囲気についてご紹介します。

Oracle AI Worldの会場は、国籍を問わず世界中から参加者が集まり、どこに行っても人で溢れるほどの大盛況でした。
以下は、初日のキーノートに入場する際の行列の様子です。

アナウンスによると、日本からの参加者は約400名とのことでしたが、食事会場ではなかなか見つけられないほど多国籍な雰囲気で圧倒されました。
個人的には、インド系の参加者が特に多い印象を受けました。

実際、AI World開催前日に会場内のベネチアンホテルのフードコートに行ってきましたが、お昼時にインド料理店だけが10人ほどの列を作っていたのが印象的でした。

参加者特典として配布されたノベルティは、昨年同様、特別仕様のタンブラーなどでした。

昨年のものと比較してデザインがモダンになった印象です。

展示ブースも非常に賑わっており、各企業がストラックアウトやUFOキャッチャー、レーシングゲームなどを用いたキャンペーンを行っており、まるでお祭りのような明るい雰囲気でした。

日本企業の出展もあり、AI Shift社がブースを構えていました。

自分と世代の近い方が英語でコミュニケーションを取っている姿が印象的でした。

その様子を見て、自分ももっと英語でのやり取りができるようになりたいと強く感じました。

出展:https://zenn.dev/aishift/articles/d1b27c22b8f5b2

会場ではスナックも用意されており、飲食には困ることなくブースを回ることができました。

また、ギフトショップではTシャツや文房具、ステッカー等様々なグッズが販売されておりました。

私は記念に特別仕様のスウェットやステッカーなどを購入しました。

Day2夜には、毎年恒例となっている大型イベント「The Party」が開催されました。

今年のゲストアーティストは世界的ロックバンドのDef Leppardが登場しました。

会場は大盛況で、音楽とともに参加者同士の交流が一層深まる貴重な機会となりました。

実際の会場の熱気や雰囲気は、Oracle公式が公開している以下の動画を見ていただくとよく伝わると思います。


その他周辺の観光やイベントについて

その他Oracle AI Worldの前後での観光やイベントについても合わせてご紹介します!

(シルク・ドゥ・ソレイユは時間の都合上行くことができなかったのでここでは割愛します。)

Top Engineerを受賞した方との交流

ありがたいことに、2025 OCI Top Partner Engineersを受賞し、Oracle AI Worldの前日に開催されたJapan Sessionにて、他の参加者の前で登壇する機会をいただきました。

その日の夜には、会場のベネチアンホテル内のイタリアンレストランにて、現地参加していた他のTop Engineerの皆さまと会食、情報交換をすることができました。

また、今回のプログラムには約100名の応募があり、Oracleの担当者の方からは「応募書類を一枚一枚目を通すのが本当に大変だった」との裏話も伺いました。

選出の重みを改めて感じるとともに、非常に貴重な経験となりました。

Sphere

Sphere(スフィア)は2023年に開業した比較的新しい建物で、その球体のフォルムは今やラスベガスの新たなシンボルとなりつつあります。

内部では4D映像による迫力ある演出が行われており、ほぼ360度にわたって映像が映し出されるため、日本では体験できない没入型の劇場体験を味わうことができます。

上映されるプログラムは定期的に入れ替わっており、私が訪れた際は「オズの魔法使い」が上映されていました。

海外の作品のため日本語字幕はありませんが、古典的な作品ということもあり、映像表現だけでも十分に楽しむことができました。

言葉では伝えきれない圧倒的な臨場感があるので、ぜひ現地で実際に体験してみてほしいです。

入場時は水の持ち込みが禁止されており、空港の手荷物検査に近いレベルで厳重にチェックされます。

また、リュックサックで行く際ロッカーの利用を促され、最低でも10ドルかかるため、なるべく身軽な格好で行くことをおすすめします。

フレモント・ストリート

Sphereを鑑賞したその夜、ラスベガス郊外のダウンタウンであるフレモント・ストリートを訪れました。

フレモント・ストリートはアーケード街のような造りとなっており、夜になるとストリート全体が美しいイルミネーションに包まれ、歩いているだけでもワクワクするような雰囲気を楽しむことができます。

観光エリアと比べると日本人の姿は少なく、まさに「海外に来ている」という実感を味わえる場所でした。

ストリートへは、24時間運行しているバス「Ride RTC」を利用して移動しました。

(おそらく"時間を気にせずカジノを楽しんでほしい"という、ラスベガスらしい粋な配慮かもしれませんね。)

帰りはホテルへ直行せず、少し遠回りして立ち寄りながら、ホテル群の豪華なイルミネーションを眺めて締めくくりました。

補足で、ラスベガスは深夜でも街全体が明るく、各所に警察官が常駐しているため、治安面については不安を感じることはありませんでした。

ただし、観光地特有の雰囲気もあり、テンションが上がってキャラクターなどの扮装をした人と記念撮影をするのは避けたほうが無難です。

私が見かけた場面では、Ride RTCに乗っている時にミッキーマウスと観光客が記念撮影をし、その後にドル札を5枚ミッキーに手渡していました。

さらに驚いたのは、撮影が終わった後にその“ミッキー”が頭部を外し、目が合ってしまった瞬間──あれはなかなか忘れられない光景でした。

グランドキャニオン

ラスベガス滞在最終日に、グランドキャニオンを訪れました。

実際に目の前に広がる光景は、まるで一枚の絵画のように壮大で、これまでに見たどんな景色とも比べものにならないほどの絶景でした。

グランドキャニオンに向かう道中で映画「カーズ」のモデルとなった街・セリグマンにも立ち寄り、古き良きアメリカの雰囲気を存分に味わうことができました。

なお、ラスベガスからグランドキャニオンまでは片道で少なくとも4時間ほどかかるため、訪れる際は一日がかりの行程になることを想定し、他の予定は入れないようにするのがおすすめです。

また、ラスベガスではスポーツ振興にも力を入れており、アイスホッケーやアメリカンフットボール等の本拠地等があります。

さらに、2028年度を目処にメジャーリーグの球団「アスレチックス」の本拠地が完成予定です。

もし今後、Oracle AI World の開催日程とシーズンが重なれば、メジャーリーグの試合を現地で観戦できる機会もあるかもしれません。


まとめ

今回のOracle AI Worldへの参加は、AIやクラウドの最新動向を直接肌で感じられる非常に貴重な機会でした。OracleがAI分野に注力している姿勢は、イベント名の変更からも明確に伝わってきましたし、基調講演やセッションを通じて、その戦略や技術の方向性を深く理解することができました。

特に、AIの「Trainingフェーズ」から「Reasoningフェーズ」へのシフトや、Oracle Database 26aiのRAG対応機能など、データ活用の重要性を改めて実感しました。

また、Oracle AcceleronやOCI Dedicated Region25、Zero Trust Packet Routingなど新サービスの紹介は、実務での活用を考える上でも参考になる内容が多く、AIインフラストラクチャへの投資規模や方針を知ることで、今後のシステム構築やクラウド戦略の方向性を考えるうえで非常に示唆に富んでいました。

会場の雰囲気も印象的で、世界中から集まった参加者の熱気や展示ブースの活気、国際的な交流の場としての側面を肌で感じることができました。

以上となります。

最後まで読んで頂き、ありがとうございましたm(_ _)m


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